
熾へと生きる
深く、あたたかく、閑かに。
少しだけ、火のそばに来ませんか
ぱちぱちと薪がはぜる音や
炭の奥で赤が閑かに深まる熾(おき)を見ていると
時間は ゆっくりと形を変えていきます


若い頃は 前へ進むことばかり考えていました
もっと速く 強く 効率よく
でも いつの頃からか
立ち止まる時間の中にしか見えないものがあると
気づくようになりました
歩くことも 立ち止まることも
同じように大切だと
村上春樹の描く
『アイロンのある風景』のように
何も起きない時間の中で
心の奥に 小さな揺らぎが生まれている感覚
マイルス・デイヴィスの奏でる
『In a Silent Way』のように
音と音のあいだにある閑けさ
言葉にならない余白
過ぎ去った時間が にじむように戻ってくる感覚


火もまた 同じです
炎が過ぎたあとに残る 熾(おき)の時間
強く燃え上がるのではなく
ただ 閑かに 深く あたたかい
その前に座っていると
思考は少しずつほどけ
急いでいた理由も
悩み続けた日々の記憶も
どこかへ消えていきます
ここは そんな時間を置いておく場所です
薪ストーブのある暮らしや
炭火でゆっくりと火を通す営み
歩きながら出会う空や風のことを
ひとつずつ 閑かに綴っていきます
人生の「熾の時間」を歩きはじめた
ひとりの記録です

急がなくていい時間
何も求めない時間
ただ、そこにいる時間

そんな時間の中で
人生はもう一度
閑かに整っていくのかもしれません
もしよければ
あなたの中の閑けさと
どこかでふれ合えたら うれしいです
Contents

薪ストーブのある風景
〜熾のある暮らし

芋焼人の店
〜炭火焼甘蜜芋『実』

散歩道より
〜本当は「空」を撮りたかったんだ